この記事、「エイトの全曲レビュー」カテゴリと「渋谷すばるソロ」カテゴリとどっちがいんだろう。
なんとなく前者に入れてみたけども。
というわけで、渋谷すばるソロカバーアルバム「歌」の全曲感想です。
出会ったころはこんな記事を書ける日が来るとは思わずにいたよ。(featuring「オリビアを聞きながら」)
すごいねえ。
とその前に、アルバム全体について思ったことを。
最初に聞いたときの感想は、このアルバムに流れてるのは「曲」じゃない、「歌」だなあ、というものでした。
頭から終わりまで、リアルな渋谷すばるの「歌」で構成されているアルバム。
関ジャムでセッションするときって、すばるは原曲の雰囲気を尊重して歌ってると思うんだ。
音程も、関ジャニ∞の曲を歌うときよりも丁寧に丁寧にとってる。
(私はすばるのそういう歌い方が好きです)
だけどこのアルバムでは、そういうのがとっぱらわれて、すべてがすばるの「歌」になってて。
カバーアルバムなのに、いやカバーアルバムだからこそ、何を聞いてもどこをとっても渋谷すばる。
渋谷すばるBANDのライブアルバムと言っても過言ではないほどに生の「歌」が詰まってる。
だからこのアルバムのタイトルは、もうほんとうにそのまんまだと思ったな。
今となってはこれ以外のタイトルが考えられない。
んでね。私はわりとふだんはCD音源では「曲」を好んで聞くほうなんです。
隙がある曲が好きってよく言ってるけど、計算してつくられたうえでできてる隙が好きなんですよ。
(意味わからない人はスルーしてください 汗)
いっけんそうは聞こえない曲でも、実はきちんと音程がとれてる、という丁寧さをもつ曲や作品が好きなの。
これは私の耳が音程の違いを拾いやすいからという理由もあります。
一方でこのアルバムは、本当の意味での隙だらけで。
ライブ感あふれる音のバランスを重視してつくられてるから、声の音程の丁寧さ正確さは二の次なんだよね。
なので聞き始めは、ああこういうふうなのかーって思ったりもしてました。
このアルバムの中でいちばん「曲」側にあるのが「元気を出して」じゃないかなあと思ってるんですけども。
(レコーディングムービーを見るとわかるけど、この曲が最も試行錯誤してるから「曲」側に寄ったのかなあと)
だからこの曲が私にはいちばんしっくりきて、曲単体ではいちばん好きなんだと思う。
だけどさ、イヤホンで何度も聞いてくと。
もうすっごくすっごく渋谷すばるなんだよね。渋谷すばるの「歌」なんだよね。それがものっすごく沁みてきて。
素朴でそれでいてしっかりとした楽器の音がまた「歌」なんだよなあ……。
とくに、アレンジがシンプルな「元気を出して」から「言葉にできない」。
そして「SWEET MEMORIES」からシークレットトラックをはさんでの「オモイダマ」のアカペラ。
ここの流れがとってもとっても好きでもう胸がいっぱいでどうしようかと。
たいへん前置きが長くなりましたが(爆)、ここでようやく渋谷すばるカバーアルバム「歌」、全曲レビューにいきます。
なお、これより前もこの先も完全なる私の主観ですのでよろしくどうぞ。
1.スローバラード(RCサクセション)
つかみは堅いところできたな、と(笑)。
すばるが歌うスローバラードは何度か聞いてきたけど、このアルバムのスローバラードがいちばん好きかもです。
歌う機会を重ねるたびにすばるのなかで曲が馴染んでいってる気がするな。
この曲、すばるにとても合ってると思う。
アレンジも素晴らしく(ブラスアレンジがうるさくなってないのがさすが)、完成度が高いなあっていう印象。
2.マンピーのG★SPOT(サザンオールスターズ)
かけ声から始まって、原曲と比べてよりライブっぽいイントロアレンジ。
この曲はなんといってもコーラスアレンジが秀逸!
イントロやアウトロ中の♪マンピー!とか、2番のCome On!!の前の♪Oh Yeah~とか、ああいいなあって思うんだよねー。
ハモリやユニゾンの入れ方もかなり好きです。
♪悲しい男と女が~や♪夏は魂だってYellow~ところでオクターブ高い声を重ねるのとか。
曲全体は、本家よりも若くてちょっと硬くてまっすぐなイメージ。
3.ファンキー・モンキー・ベイビー(キャロル)
この曲もまずはかけ声、そしてすばるのハープから始まって。
手堅いアレンジ、若さあふれる疾走感。
なんかさー、すばるって若いんだって思うな、この曲聞いてたら。
実年齢は三十路をとっくに過ぎたおっさんだけども、なんというか、どこか少年みたい。って超ありふれた表現になったな(笑)。
すばるこれ歌ってて楽しかっただろうなあって聞いてたらニヤけてきます。
4.First Love(宇多田ヒカル)
キーボードの音に、ささやくような、それでいて男っぽいすばるの声が乗る。
ちょっとこの曲はほかの曲と毛色が違いますね。
正直に言うと、この曲はもう少し音程を丁寧にとって歌ったのを聞きたかったなあと思ったりもしました。
そしてもっと淡々と歌ったほうがすばるの歌声が生きたんじゃないかなーと。(単にそっちのが私の好みという話かも)
だけど結局はAメロの低い声(とくに2番)にノックアウトされてます。
5.元気を出して(竹内まりや)
この曲のすばるの歌い方が好きだー好きだー好きだー(エコー)。
♪涙など~の「なみだなー・ど」
♪強気なあなたを~の「つよー・きな」
♪幸せになりたい~の「しあわせー・に・なーりたい」
♪少しやせたそのからだに~の「かー・らだに」
等々、私の好きな歌い方がたっくさん出てくるんだよー!!マニアックなこと言ってる自覚はあります!!!!
♪チャンスは何度でも訪れてくれるはず~と♪人生はあなたが思うほど悪くない~のフレーズの歌い方はまるごと好き。
アレンジもすばるのこの歌い方にさりげなく寄り添うようなシンプルさでいいなあ。
最後のLa La La...もいいですね。ここのコーラスの入れ方も大好き。
6.君がいないから(安全地帯)
私はピアノから始まる曲に弱いです。(何の宣言)
そこにすばるの低くてちょっとぶっきらぼうな声が乗っかっるとそれだけでもう聞き入ってしまうよ。
壮大な曲って本当はあんまり好みじゃないのですが、ピアノメインのアレンジとすばるの歌声で沁みるんだよなー。
サビの高音域は少し尾崎豊をほうふつとさせるような。
夜に聴くのがいいですね、この曲。
7.言葉にできない(小田和正)
この曲、原曲をかなり聞いてるはずなのに、聞いてる最中は原曲が浮かんでこないんですよ。
原曲は素晴らしく完成度が高いんだけど、全然違う曲に仕上がってる気がするんだよね。
(それはこの曲だけじゃないけどこの曲はとくに)
やわらかい声、熱い声、硬い声、やさしい声、情緒的な声、すばるのいろんな声を堪能できる曲だと思います。
♪la la la....は熱くて硬い。
つづく♪言葉にできない~のところはやわらかい。
さらにつづく♪あなたに会えてほんとうによかった~のところはやさしい。
そして♪嬉しくて嬉しくて~のところは熱くて情緒的になる。
最後、すばるの♪言葉にできない…で終わるのがすごく好きです。
8.SWEET MEMORIES(松田聖子)
まず入りのギターアレンジがすごくいい!かっこいい!!
全般的にクールにブルージーで、すばるの情緒的かつ男くさい歌い方と、曲がもつ甘さとのバランスがすごくいいんですよね。
これだけ女の子ぽい歌詞がこれだけ男ぽい曲に仕上がるんだもんなあ。面白い。
ブラスアレンジもちょうどいい感じで、カバー曲としての完成度が高いなあと。
最後の♪SWEET MEMORIES...はズルい!あんなん惚れてまうやろ!
9.(NO TITLE)(通常盤シークレットトラック)
ここにこれがあることで、次のオモイダマに行く前にふうと息を抜ける感じになってていいですね。
たぶんすぐにオモイダマだと違和感があった気がするな。それにしても楽しそうな音!
10.オモイダマ(通常盤ボーナストラック・関ジャニ∞)
すばるにとってこの曲は特別な曲になってるんだねえきっと。
アカペラだということもあってか、このアルバムの中ではかなり丁寧に歌ってる感じがします。
コーラスアレンジがすごく好き。
すばるの声ってともすると体温が高くなりすぎるときがあるんだけど(関ジャニ∞でこの曲を歌うとそうなりがちなんだけど)。
ここでのいい意味で色がないコーラスがそこをほどよく中和してかつすばるの声も活きる。
ぜひともイヤホンで聞いてほしい曲。
最後の♪未来へ...が消え入る感じがすごくいい!
こんな感じになりました。
うわーーー長いーーーそして我ながらうっとうしい(笑)。ここまで読んでくださったかたおつかれさまでした。
そういえば、このアルバムを聞いてたら、近田春夫氏の週刊文春の連載「考えるヒット」での
“渋谷すばるのCDを聴いていたら久々によみがえってきた感覚があった。「あ、歌手だ」”
っていうフレーズを思いだしたよ。
“楽曲でもなく歌詞でもなく歌いっぷりこそが魅力の真髄というJ-POPに出逢えた”
“歌手ってそういった意味で歌ってる自分に絶対陶酔しない人のことかも”
うん、渋谷すばるのファーストアルバム(と敢えて書いてみる)がカバーアルバムなのはきっと必然。
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渋谷すばる「歌」全曲レビュー
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